言葉とコミュニケーションの発達について(Part 2)

image001言葉が遅いと感じた時にどうすればいいか? まず大切なのは、耳の問題です。聞こえているかどうかです。この問題はとても重要でターニングポイントは2歳です。万一難聴があった場合、2歳以前に発見されるのと、2歳を過ぎてから発見されるのとでは、その後の言葉の獲得数に大きな違いが出てくるからです。ドアをバタンと閉める音に反応するから聞こえているはずだ、などと簡単に判断してはなりません。言葉の獲得に必要な人の声レベルの周波数の音が聞こえているかが大切なことです。「言葉が少し遅れているけどしばらく様子をみる。」というのは、耳が聞こえていることを確認してからの話にしなければなりません。

次にコミュニケーション(気持ちの通じあい)に注目することが大切です。言葉というのはあくまでもコミュニケーションのツールですから、コミュニケーションの意欲が育っていなければ言葉が遅くなるのは当然です。寝かされっぱなしであまり構われなかった子は言葉の発達が遅くなります。人と目をあわせない、呼びかけに応えない、気持ちが通じあうような感じがしない、いつも一人で遊んでいて甘えてきたり遊んでもらおうとしない、などと感じた時には「気持ちを通わせる」という視点から考えることが大切です。子ども自身、人とのかかわり方がわからずに困っているのです。子どもに「自分の伝えたい思いをわかってもらえる心地よさ」「人とかかわりあうことの楽しさ」を教えてあげなければなりません。それには大人と一緒でなければできないような体を使った楽しい遊びをしてあげることがよいでしょう。それによって人とかかわることの楽しさや人に対する信頼感、伝えたいという気持ちや要求を育て、コミュニケーション意欲を高めることにつながります。またこだわりが強くて同じ遊びを繰り返す傾向の強い子の場合には、子どもの「おもしろそうだな」という気持ちを引き出すために、お父さんお母さんの遊びのセンスを駆使して、やったことのない面白そうな遊びを提供してあげることもよいと思います。ただし無理に誘うのではなく「何か面白そうなことをやっているぞ」と思わせるようにしていかなければなりません。さらには遊びだけでなく、毎日の生活の中でも常に子どもに注意を向け、転んだときには「いたかったね」などと子どもが感じているであろう気持ちを言葉にし、壊れた時には「こわれちゃったね」などと子どもが体験していることを言葉にして言葉の多い生活をおくることも大切なことです。

最後に、言いたいことはとてもうまく話すけど、人の話を聞くことが苦手な子が近頃増えているように思います。これもコミュニケーションの弱い子です。コミュニケーションとは自分の気持ちを伝えたら、今度は相手の話をよく聞いて理解する。こうした双方向性のやり取りがコミュニケーションの重要な要素です。子どもの話を聞くばっかりじゃなく、大人が伝えなければならないとこはしっかり伝えて聞く力を育てること、がまんしなければならない時には気持ちのコントロールを教えることも、コミュニケーションの能力を育てるためには大切なこととなります。

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