しつけの仕方

困った問題が起きた時に、相談に来られた親御さんや先生たちは、「どういう声かけをしたらいいんですか?」とよく聞かれます。

自分はこういうふうに言ってみたんだけど、もっといい言い方がないかを聞きたいと言うのです。

でも、子どもを育むとか、導くとか、枠を作るという作業は、小手先の言葉だけでうまくできるようなものではないのです。そんな簡単なものではありません。

少なくともあなたの言葉に耳を傾けようという子どもの思いがなければ、そういう関係が出来上がっていなければ、言葉だけでは難しいと思います。

しつけや子育てに必要なのは、枠を崩さない強さ、覚悟と、子どもが少々ぐずっても、それを包み込むようにゆったりと黙って見ていることができるゆとりのある優しさです。

例え話をしてみましょう。

今、ジャングルの中で子育てをしているとします。「しつけ」という名前のある安全な枠(柵)の中で子育てをしています。その枠の外には、危険な猛獣がたくさんいます。安全に子育てをするためにはその枠を守らせることが必要です。しかし子どもにとっては、枠の外の世界には、魅力的な物や場所がいっぱいあります。子どもは何とか枠を超えて遊びに行きたくて仕方がありません。あなたならどうしますか? 子どものぐずりに負けて、危険な枠の外に行かせるのでしょうか?

実際にはおそらく子どもと交渉して枠を少しずつ広げていく親が多いのです。でもそれは子どもを危険にさらすことと同じです。ぐずれば枠を広げてもらえると知った子どもは、ますますぐずって枠をどんどん広げてもらおうと頑張るのです。危険を知らないからです。そして気づいた時には猛獣が目の前に…。

僕は日頃から、子どもが泣いたりぐずったりするとあたふたする親が多すぎると思っているのですが、子どもって泣くものだし、ぐずるものなんです。向こうで遊びたいんだなぁって、元気でいいなぁって、微笑ましくみつめながら、「この枠は出てはいけないよ」ってやさしく言ってあげればいいのです。そして絶対に出さない事です。親が決めた枠を崩さない事です。子どもが泣いて怒ったとしても!そして必ずいつかは泣き止みますので、その時に「よく我慢できたね」って必ず言ってあげてください。これがしつけのあるべき姿で、愛深い親の姿です。 よくテレビに出てくる子どもを虐待した親は「しつけのつもりでやりました」とお決まりのように言いますが、このように考えると、しつけには怒ることも、罰を与えることも必要ないということがわかると思います。

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