アトピー性皮膚炎について ~科学的に根拠があることとは?~ 第2弾

image001アトピー性皮膚炎は、遺伝的要因が関与する免疫アレルギー的な機序と、皮膚機能の異常が関与して発生するもので、かゆみのある特徴的皮疹と、増悪・寛解を繰り返すのが特徴の慢性皮膚疾患である。 皮膚バリア機能が低下しているアトピーの皮膚は、角層に水分を保持することができず皮膚からの水分蒸散量が増加している。そのため特に冬前後の空気が乾燥しやすい時期には、皮膚の乾燥が進み、そのためもあって強いかゆみが生じやすく、かゆみを我慢できない子どもたちにとっては大きな増悪因子となる。したがって保湿などのスキンケアは欠かすことができない重要な治療の一つである。

治療の基本は、①発症・悪化因子の対策、②スキンケア、③薬物療法の3つである。

まず①の発症・悪化因子としては、食物、汗、乾燥、掻破、物理化学的刺激、環境因子、摂食抗原、ストレスなどがあげられる。何が悪いかは子どもによって違うので、個々に考えていかなければならないが、子どもによくみられる悪化因子として重要なのは②のスキンケアにも関係するが、乾燥と掻破である。 乾燥対策として保湿が重要であるが、保湿はあくまでも皮膚からの水分の蒸散を防ぎ、炎症の再燃を予防する目的で用いられるものであり、すでにできている湿疹や皮膚炎に対する治療効果はないので間違えないようにしなければならない。 保湿剤としてはヒルドイドやワセリン、亜鉛華単軟膏などいろいろあるが、保険適応の認められたものの中で、個々にとって使用感の良いと思うものを選択すればよい。塗る場所は、手で触れてざらざらしているところや、乾燥していないように見えてもかゆがって搔くようなところに塗るとよい。 次に食物の関与についてであるが、一部の例で食物アレルギーの関与した皮疹がみられるのは事実であるが、治療ガイドラインによると、食物アレルギーの関与イコール食物除去という治療方針にはなりえず、関与の強い例、重篤な症状を持つ例を除いては、成長障害のリスクを負う食物除去は必ずしも必要ではないとなっている。1980年代に提唱された厳格食事制限療法が、否定された今でも民間レベルでは強く残っていることには注意すべきである。

次に、薬物治療についてであるが、1990年代に起こったメディアによるステロイドバッシングとそれを後押しした根拠のない脱ステロイド療法、様々なアトピービジネスによってアトピーの治療は混乱を極めている。ステロイドホルモンはもともと生体内に存在する炎症を抑える働きに優れた物質であり、適正使用を行なえば副作用の少ないすぐれた治療薬である。ステロイドに関する正しい知識をいくつか示して今回は終わりとする。 1;最も強いクラスのステロイド外用薬でも1日5gの3ヶ月連日使用で全身的副作用は起こらない。 2;表皮細胞は30日で置換されるので、薬慣れを生じてだんだん強い薬を使わなければならなくなるというようなことは生じない。 3;皮膚の炎症が沈静化すれば薬を中止することが可能であり、依存性は生じない。 4;ステロイドは蓄積されるものではない。 5;皮膚炎の改善後、色素沈着を残すことがあるが、炎症後の色素沈着で虫刺されややけどの跡ででもみられるもので、ステロイドによって生じたものではない。

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