心を育む子育て』について考えよう(Vol.1)

~“がんばること”に対するポジティブな思いを育てよう!~

image001先日こんなお母さんがおられました。3歳の女の子を連れたお母さんです。女の子の手を引いて診察室に入ってくるなり、「予防注射をお願いします。」と言われました。予防注射と言えば誰もが嫌がるもので、特に3歳の子となると、何とかごまかして連れてきて、あとのご褒美で釣って悪戦苦闘!というのが多くのパターンです。それをそのお母さんは、「予防接種お願いします」と入ってきて「頑張ろうね、○○ちゃんなら大丈夫!頑張れるよ」「先生は優しくしてくれるからね」と言うのです。女の子も「うん、頑張る」と言って、左手はお母さんの手をぎゅっと握って、診察・注射と泣かずに頑張ったのです。「すごいね!頑張ったね!」ととても嬉しそうにほめてくれるお母さんに、その子もとても誇らしげに帰っていきました。お母さんの笑顔と最高の褒め言葉という大きなご褒美をもらって…。

“がんばること”に対するポジティブな思いを育てることは、実はとても大切なことなのです。 頑張れる子だって信頼されて、頑張ることを期待されて、頑張ったことを喜んでもらえて、親子の絆が太くなり子どもの心には小さな自信が芽生えるのです。親はえてして何かで勝ったときとか、いい成績を出した時に子どもに自信がつくと思っているかもしれませんが、勝っても勝っても不安が大きくなるだけの人もいるのです。こんな何気ない日常のちょっとしたことの積み重ねで、子どもの自尊心が育つのだろうと思います。

うまくいかない、思い通りにならないとすぐにキレたり、投げ出したり、努力をせずにあきらめたり、うまくいかないことを親や他人のせいにする子が増えていますが、このように育てられた子は、自分のことを自分のこととしてしっかり受け止め、自分がやったことの結果を自分の責任として受け止め、うまくいかなかったとしてもまた努力をする、そしてそうすることが楽しくてしかたがないという子に育ってくれることと思います。

心を育む子育てには、目の前の目で見てわかる結果にとらわれないことが一つのポイントになります。泣かずに頑張ったとか、泣いてしまったとか、そんなことはどうでもいいことなのです。大切なのは、どういう姿勢で親が関わるかということです。頑張る力があるって信頼したということ、頑張ったことをほめてもらえたということ、頑張れなかったとしてもだめだとは思わず次に期待をしてあげること。ものすごくストレートなかかわりの中にこそ、心を育むポイントがあるのです。多くの人がそうであるように「今」をうまく乗り越えることだけを考えれば、あれこれとノウハウを考えることに終始してしまうことになってしまいます。しかしそれは心を育むチャンスを無駄にしていることになるかも知れません。ストレートな関わりは結構エネルギーがいりますのでいきなり注射の場で、というのは難しいと思いますが、日常生活の中で少しずつ考えてみられてはいかがでしょうか。
(ただし一部の子、特に2歳以下の子には、こうした関わりはできませんので、注射の際にはうまく子どもだましを使ってあげるのもよいと思います。)

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